現在は和解が成立していますが、昨年、三浦弘行九段の将棋ソフト不正疑惑が大きな話題となりました。
以後、対局室への電子機器の持ち込みが禁止されるなど、将棋ソフト利用に対する関心が高まっています。
一方、アマチュアの世界でも、オンライン上での対局時に将棋ソフトに指し手を読み込ませながら対局する「ソフト指し」が問題になっています。
プロ棋士と同等かそれ以上の棋力を持つ将棋ソフトの指し手を参考に指せば、自分の頭を使うことなく勝利し、段級を上げることが出来るなどの問題が指摘されています。
ここでは将棋ウォーズにおけるソフト指しについて考察していきます。
ソフト指しは利用規約違反なのか
現時点の将棋ウォーズの利用規約では、明確にソフト指しの禁止事項は明記されていません。
これには理由があります。
ソフト指しを利用規約違反にしない理由
将棋ウォーズがソフト指しを利用規約違反にしていないのには、2つの理由があります。
棋神召喚機能の搭載
将棋ウォーズに搭載されているコンピュータに自動で指し手を選んでもらう棋神召喚機能は、一局の対局内で使用できる回数が決まっていますが、ゲーム内の課金により利用限度を上げることが出来ます。
その為、ソフト指しと同じことがゲームの機能範囲で行えるようになっています。
ソフト指しなのか否か判別が難しい
一般的にソフト指しを行っているか否かの判別は以下の方法で行います。
- 相手の段級とかけ離れた高度な指し手が指される。
- 隙が見当たらない指し手が続く。
- 将棋ソフトの指し手との一致率が高い。
プロ棋士の場合は、インターネットなどで対局風景が映り、また棋譜が調べられますので、ソフト指しを行ったか否かの判断を行う材料が入手出来ますが、将棋ウォーズの場合は、オンラインでの対局で対局相手がどのような状況下で指しているかが分からないことに加え、都度将棋ソフトとの一致率を調べるのは大変困難ですので、ソフト指しか否かの判別が極めて難しいのが現状です。
この棋神召喚機能とソフト指しの禁止が相容れない関係にあることと、ソフト指しか否かの判別が困難なことから、将棋ウォーズはソフト指しを禁止事項としていません。
将棋倶楽部24ではソフト指しを禁止している
一方、将棋ウォーズと同じく日本将棋連盟公認のアプリである「将棋倶楽部24」では、ソフト指しを禁止事項としています。
ソフト指しが疑われるプレーヤーを発見した場合は、管理者に通報することで将棋ソフトとの一致率を調べるなどの調査を行ってくれます。
万が一ソフト指しが発覚した場合は、該当ユーザーの登録情報が抹消され、以後将棋倶楽部24で対局することが出来なくなります。
これは将棋ウォーズと違い、コンピュータの指し手を参考にする機能が一切搭載されていない為にこのような対処方法をとることが出来ます。
まとめ
- 将棋ウォーズの利用規約ではソフト指しは明確に禁止されていない。
- 将棋ウォーズがソフト指しを禁止にしない理由は、棋神召喚機能とソフト指しの判別の難しさにある。
- 将棋倶楽部24はソフト指しを禁止事項にしている。
将棋ウォーズではソフト指しを禁止していませんので、「ソフト指しが疑われるプレーヤーと多く対戦するな」と感じたら、将棋倶楽部24などソフト指しを禁止しているアプリで対局を楽しむことをお勧めします。